お姉ちゃんの憂鬱
「……田代くん?どうしたの?忘れ物?」


ドアの方を振り向くと、同じクラスの田代くん。

田代くんは、よく言えば大人しい、悪く言えば地味で目立たない人だ。

雰囲気はどことなく前の直くんに似ていて、直くんと仲良くなる前だったら、どっちがどっちか分からないくらいお互いに地味だ。




「三船さん。部活じゃないの?」


「部活はこれから行くよー?田代くんはどうしたの?」


「…ちょっと、直江に用事があってね。」


「そっか、じゃああたし部活行くから。直くん、課題がんばれよーん」



最後に見せつけるように頭を抱えてわしゃわしゃしてやった。


直くんを離して、そのまま教室の外に出る。

教室から一番近いトイレに入ると、そこには帰ったはずのまどかとさぁちゃんがいた。



「かかった?」

「かかったよ。完全に彼だね。」



そう、これは犯人をあぶりだすための体を張ったおとり作戦なのだ。





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