お姉ちゃんの憂鬱
「お前らな…」
「先生は黙っていてください。田代君。自分の口でちゃんと説明してください。」
ここまで黙っていた直くんが田代君に言った。
田代君はうつむいていた視線を上げて宙にさまよわせた。
その視線があたしや直くんに向けられることはない。
「お、おれは……三船さんのことが、好きなんです。」
またも視線を床に戻した田代君は、震える声でそう言った。
「うん…だから?」
思わず問いかけた声は、いつものあたしの声とはかけ離れて冷たいものだっただろう。
「え…いや、だから…」
「だから隠れて写真を撮った?だから直くんに嫌がらせした?だから直くんに暴力をふるった?だからあたしの友だちを傷つけた?」
「あの、えっと、違うん…」
「何が違うの?さっきの先生の話を聞く限りでは、あたしのことが好きだけどあたしと話す機会がなくなって、直くんとあたしが仲良くなって、その腹いせに嫌がらせをしたとしか解釈できないんだけど。それが違うの?」
「…そうです……」
「好きだと言えば、何をしてもいいの?」
「良くないです…」
「へぇ、良くないことだとわかっているのに、田代君はその良くないことをする人間なんだね。それってあたしにはちょっと理解できないよ。」
「そ、そうですよね……すみません、でした。」
「…それは、誰に謝ってんの?」