Love their
もどかしくて思わず指を噛んでしまいそうな衝動を押さえるのに、彼の指先を自分の指先で絡めるのがやっとだった。



彼が欲しくて欲しくて。


叶った溢れる想いを抑えることがこんなにも難しい。


でも、満ち足り過ぎた彼の温もりをもっともっと感じたいと思うのは。



求め過ぎだろうか―。


そんな疑問を小脇に抱えながら期待するレイを我に戻したのも彼だった。


彼は触れる全てを離してしまった。


「もう1本、飲もうか…」


「………!!」


そう言って残りのコロナビールを飲み干し元の姿勢に戻る彼。


数秒の時の流れさえスローに感じその先を最も近くに感じていたのに。


レイは落胆した表情を見せまいとうつ向き彼と同じようにビール瓶に手をかけた。

同時に彼の手がビール瓶を持つレイの手に触れた。


思わず、ドキッとして手を引っ込めようかと思ったが考え裏腹に手までに神経が届かなかった。


ビール瓶の少し冷えた感触よりも、もっと刺激的な温度。麻痺させたのは彼の温もりだった。



「私、取ってくるね…」


「ああ…お願いするよ」



正常を装い会話するがあまりにも事務的なようで気まずい感じがした。
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