Love their
「さっき言ったように…」

「僕は君が欲しい」


彼はじっとそんなレイを見つめて言った。


じゃあ、どうして…、


「…私も思ってる」


彼は瓶を持つレイの手からサッと瓶を抜き取るとテーブルに置いた。


レイは視線を痛い程感じて思わず彼の胸元に目をやった。


彼は動けないレイを再び今度は強く抱き寄せる。


不規則にリズムを刻む胸の音を聞かれまいと少し身体を反らそうとしたが強い力で押しつけられて離せなかった。


「僕だって…」


重なる胸から彼の熱い体温と一緒に鼓動も触れる。


「君の幸せを無視していいなら君のことをもう離さない」



どうして。


こうやって私を抱き締めながら、そんなことを言うの。


2人の鼓動が同化して同じリズムを刻むのを感じる。


私の幸せって何?


この一時を私が幸せでないというならば、一体何処に幸せがあるというのか。


「君には辛い思いをさせたくないけれ…っ」


レイは彼の言葉を遮るように強引に唇で塞いだ。


彼は一瞬驚きとレイの重みで少し後ろにのけぞるような姿勢になったがすぐにレイの体重を包み込むようにして受け入れた。


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