Love their
言葉で分からないことだってある。


言葉で伝えられないことだってある。


きっと、サトルがありながらこうして共に過ごす私を思ってのことなのかもしれない。


だけど、百も承知で全身全霊で今の私を受け止めて欲しい。



やがて、強引に絡ませようとするレイの舌に合わせて彼がその動きをリードする。

一呼吸置こうとレイが唇に隙間を入れようとしても彼が離さなかった。


呼吸すら許してくれないキスで彼の体内から酸素を奪おうとするレイに気付いて彼はゆっくりと唇を離した。

「好きなの…」


レイはむせるように息を吸い込みながら間近にある彼の目を見つめながら言った。


彼は何も言わず頷いてレイの身体を横抱きにして抱えて立ち上がった。


レイはふいに微かな重力を感じて抱き上げられたことを理解した。


「えっ…きゃ…下ろして…」


こんな時でも違う脳で自分の重さをどう思われるか気にしてしまう。


構わずそのまま廊下に出てレイを抱いたまま玄関近くの部屋のドアを開けた。


暗闇の中でほのかにオレンジ色のライトがベッドサイドで揺れるようにして灯っていた。

レイは抱かれたまま灯りを背に暗くて見えない彼の顔を見つめた。
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