Love their
興奮と緊張の為なのか。全く酔わなかった代わりに頭痛となって今頃襲ってきたようだった。


レイは喉の乾きを覚えて起き上がり羽毛布団の中に紛れるショーツを探し出すと立ち上がり身につけた。


ベッドサイドの椅子に掛けるようにして置いてある借りたTシャツとショートパンツを着込むと部屋を出てリビングに向かった。



薄いカーテン越しに大きな窓から溢れんばかりの朝日がリビングに注ぎ込まれていた。

広いリビングに置かれた洒落た家具の分だけ影を作っていた。


眩し過ぎて目を細めながら見回すが彼の気配すら感じない。


連結するキッチンにも生活感を感じさせない雰囲気だけが漂う。


少し浮き足だった感覚の自分を意識しながらキッチンに行き、冷蔵庫から冷えたペリエを取り出すと一気に流し込んだ。



炭酸の気分じゃないけど、なんて思いながらも飲み干し、軽くなった瓶をカウンターに置いた。


シャワーかトイレかな、とも思ったが自分が居る以外に外気の音だけしか聞こえない。


ソファに重い身体を滑らせテーブルに置かれてあるメモ用紙に目をやった。


(先に行くから。ゆっくりしてて。鍵はポストへ)


簡潔な文でまとめられた彼からの手紙。


やっぱり彼は先に出たんだ。

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