Love their
鍵はポストへ、かぁ…。


彼の書いたメモを手に取り眺めながら何度も文章を読み返す。


まだ、合鍵ってレベルじゃないよね。


そりゃ、数えるしか逢ってないしね。


レイは寂しく感じながらもまだゆっくりとしか働かない脳で懸命に前向きな解釈を積み上げた。


でも、


彼と結ばれたことは私が思う程、彼の中では大したことではないのではないか。

何のぼせちゃってんの?


って失笑する自分もいた。


無意識に漏れる溜め息を何度かやり過ごして彼からのメモを丁寧に半分に折りバッグの内ポケットに忍ばせた。




こんな紙切れ一枚でも大事にしたい。


彼に触れるもの全てを自分のものにしたい。



25歳、彼氏持ちの中途な私が


内緒で彼と過ごす時間。

彼の笑顔にときめく時間。
彼に抱かれる時間。


純粋に懸命に大事に守りたいと願うことは、


他人から言わせてみれば、


ばかげてる?


いいですか、って問うのは愚問なのかな。



里子の言うようにサラリと流すことが出来れば多少は楽なのかもしれない。


でも、出来ないよ。


こんなに好きになってしまったのに。




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