Love their
体内時計の正確さと習慣に感心しつつ、レイは立ち上がり下だけジーンズに履き替えた。


バッグの中の財布を確かめると携帯を入れてエアコンとテレビの電源をオフにした。


ここから、チャリで15分…買い物して作って…、21時までには食べれるよね。


頭の中で時計を予定通りに動かしてみながら、バッグの中にあったいつかの食べかけのキャンディで空腹を誤魔化した。



レイはサトルの家に行って料理しようと思ったのだった。


久々の残業できっと疲れてるよね〜しかも帰ったら手料理ある、とかビビるんじゃない?


驚くサトルを想像してレイは玄関の鍵を閉めながら思わずアハと笑った。


罪滅ぼしじゃないけれど、多少残る罪悪感を払拭出来る…そんな気持ちを持っていたのは確かだった。



数日振りに乾燥した夜風に逆らって自転車を漕ぐ。



あまり乗らない自転車のハンドルを指先だけで持ちながら、走り抜ける自動車のライトを頼りに走らせた。


風に当たり湿気を含んだ髪が段々と軽くなるのが分かる。


気持ちがいい。


レイは髪を掻きあげながら空を見上げた。


まばゆく輝く月。


いつも何気に見ているのにその美しさに目を奪われそうになる。

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