Love their
レイはサトルの家の近所のスーパーで買い物を終えると自転車の前カゴに荷物を載せた。


20時閉店のこの店はそう大きくないが、辺りでコンビニ以外にない為か仕事帰りのOLらしき女性や主婦、小さい子供を連れた夫婦達でまだ賑わっていた。


隣接する狭い駐車場に入りきれなかった数台の自動車がハザードランプをつけて店の前に駐車している。


狭い道でその脇をゆっくりと通り抜ける自動車が時折クラクションを鳴らしながら過ぎ去っていく。


入口付近には自転車にまたがった部活帰りの学生達が揚げたてのコロッケを食べながら楽しそうに談笑している。


サトルの住む街はレイの一駅隣の街で昔ながらの住宅がひしめきあういわゆる下町風情が多く残る街だった。

とはいえ、その次の駅は大型ターミナルがある乗り換えの中心駅だから、まだレイの住む街よりかは都会寄りであった。


サトル曰く以前はもう一軒スーパーがあったそうだが、隣駅の大型チェーン展開のスーパーに客を取られてしまい閉店を余儀なくされたそうだ。

平地が続くこの辺りは自転車の利用が多くレイが走らせて来たように、この街の住民も安さ求めて隣街まで自転車で買い物に行くことが多いらしい。
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