Love their
でも、サトルはこの昔から営業している地元びいきのスーパーがお気に入りらしい。


家庭持ちでも困らない位の品揃えが唯一の自慢だそうだが、店内の古びた感はどうしても否めなかった。


サトルは大学に入学した時から7年間ここで暮らしているが、


かなり前に、もしサトルと結婚したならここは嫌だなと思ったこともあった。


最近では慣れてしまったのか結婚まで考えることが無くなったせいなのか、そんなに嫌ではなかった。


寧ろ古めかしい陳列棚にまで愛着すら感じてしまう始末だった。


住めば都。まさにそのことわざの域にもう少しで辿り着きそうな感じだ。


とは言え、私の家で過ごすことが多い最近だからこそそんな上から目線で哀れんでしまっているのかもしれない。


レイの自宅は新興住宅街が少し先にあるスタイリッシュなマンションが立ち並ぶ一角にある駅近の物件で。


分譲貸しのマンションに住んでいるのもあるが、サトルのアパートより部屋も広けりゃ家賃も2万円程高い。


彼のマンションには天と地なみの差があるが、レイには自慢のマンションだった。


過ごし易さでやはり自分の家。そんな理由でサトルを招き入れることが殆どだった。
< 158 / 274 >

この作品をシェア

pagetop