Love their
帰りたくないよ!!



「…まだ帰りたくない…」


真っ直ぐ前を見る彼を見れないままうつ向いて呟いた。


顔を見たら心配してくれる彼の表情に勝てる自信が無かった。


「明日も朝早いだろ?仕事もあるだろ…帰ろう。今日は早く寝ること」


レイの呟きに少しため息を吐きながら彼が言う。


「いいの。大丈夫だから。ほんとに何でもないし」


仕事なんてどうでも良かった。


こうして逢えたのに今帰るなんて。

そんなの考えられない。





それに、家には帰りたくなかった。


サトルと過ごした自分の匂いが染み付いたあの部屋に、


サトルと一緒に寝たあのベッドに、




全てを無くした私があの空間に身を置くなんて出来ない。





帰れない。


あそこには帰れない!!!



「…嫌だ」


彼と来た道を巻戻しされるようで嫌だった。


窓の外を眺めると1人で自転車を押して歩く姿を映していたショーウインドーに私たちが乗った車が映る。



嫌だ。



「………」


無言でハンドルを握る彼。



「嫌だよ。帰らない…」



「………」



「今日は帰らない。一緒にいる。三浦さんの家に帰る」


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