Love their
レイは景色から目を反らして運転する彼の横顔に視線を移す。


横目で見ながら帰らないと連呼するレイに彼はもう一度、今度は深いため息をついた。



「だったら、このまま一緒に帰る」



「………」



彼は何も言わずにﾊﾝﾄﾞﾙを握る手を左側に替えてﾄﾞｱﾎﾟｹｯﾄに置いてある煙草を1本取り出すと口に加えた。



信号が赤に変わる。



車はゆっくりとｽﾋﾟｰﾄﾞを落としながら停止線ｷﾞﾘｷﾞﾘに止まる。



同時に彼がﾗｲﾀｰで煙草に火をつけた。



何も言わずに煙草をくゆらす彼。




無言の表情が少し険しい。



レイは表情を伺うのが精一杯でそれ以上何も言えなかった。




一緒にいたい。


ただそれだけなのに。




こんなにも伝えるのが精一杯で。




貴方のその表情に何も言えなくなる。




困らせたくない。




だけど。



それ以上に貴方の元に置いて欲しい。






「はぁ……」


煙と一緒に彼の口からため息に似た吐息が混じる。



彼は煙草を持ちながらﾊﾝﾄﾞﾙに手首を置き下にうつ向く。




レイもただ黙ってうつ向く。



やがて信号が青に変わり隣の車が走り出した。


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