Love their
その音に気付き彼は顔を上げると再びアクセルを踏んで車を走らせた。




無言のまま家までの距離だけが縮まっていく。




「近くになったらナビしてくれる?」


沈黙を破った彼の一言はあまり感情を伴わない抑揚がない声。




「帰らないって。一緒にいたい…」



レイはしぶとく喰らい付いた。



険しい表情に先程とは違う心臓のドキドキが止まらない。



お願い。


熱とかそんなのいい。



一緒にいたいの。





三度目のため息を音をさせずにつく彼。


レイはうつ向きながら上目で彼を見て肩の動きで分かった。




「…体調悪い女を抱く趣味も気もないし。…君も大人なんだ。欲求のコントロールぐらい出来るだろう?」





!?



何て…??




「今日は帰るんだ。いいね?」




彼は再び抑揚のない声で有無を言わせずに帰宅を促した。




今、何て言ったの…?




暫く彼の発した言葉を頭の中でもう一度繰り返していた。






聞き間違い、じゃない。






私…、




そんなこと思ってない。






そんな風に思ってたの…?


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