Love their
なぁ、聞いてくれてる?俺って良く知ってるだろ?



話をしながら、チラチラと私の顔を伺いながら身振り手振り説明したり…。




そんなサトルの心の声が聞こえてきてならなかった。




“能ある鷹は爪を隠す”




なんてよく言ったものだと思う。




『サトルって何でも知ってるのね』




そう言って欲しそうなサトルが分かる。




自尊心を持ち上げられて実力を発揮するタイプなのかもしれない。




彼女ならそう思ってあげるべきなんだけど。



私はこんな性格なんだ。
ひねくれているのは知っている。



だからこそサトルのそんな所があまり好きじゃない。


私を分かってリードして欲しい。



そう思うのは勝手なの?



それに他の女の影が見えるなんてかなり気分が悪い。



私は勝手だ。




思うことは悪いことではないと思う。




思ったことをサトルにちゃんと言わない私がズルイ。



思ったことを隠して素振りを見せない分、サトルのアピールより陰険だ。



私たち、このまま一緒に居てもいいのだろうか――?



レイは病院の冷たい廊下を空虚な気持ちを抱えてあてもなく歩いていた。
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