Love their
たどり着いた先は屋上だった。



レイは缶コーヒーを買い、ベンチに座って景色を眺めることにした。




雨が上がり雲間から太陽の光が何重もの糸が重なるように差していた。




時折吹く風が蒸し蒸しとした空気を流してくれる。





気持ちが良い。





外の空気に触れてすっきりした気分にさせてくれる。




屋上にはレイの他に幼稚園ぐらいの子供が父親の手に引かれ目を輝かせながらキャッキャはしゃいでいた。



レイは親子を見つめながらふと自分の幼少時代を思い返していた。






――レイが大人になってもこうして一緒に手を繋いで歩いてくれるか〜?



――いやだぁ〜……な〜んて嘘だぁ!!



――レイ、ずっとパパと一緒に歩くぅ〜



――うん。レイが大きくなったら一緒にいろんなところに行こうな〜



――レイ、大好きだよ……



鮮明に残った記憶。



同じ雨上がりの空だった。




次の日パパは家に帰って来なかった。




約束、したから……。





約束は守るものって教えてくれたのもパパだった。





――パパはいつ帰って来るの??



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