蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
――もしも、出来るなら。
――もしも、許されるなら。
――もしも、あなたを好きだと言ったら、何かが変わるだろうか。
ピンポーン――。
不意に上がったインターフォンの音に、考えに沈んでいた藍は、はっと我に返った。
ガチャリとドアの開く音と同時に、外の凍るよな冷たい空気が一気に暖まった室内に流れ込む。
「あ、おかえりなさい」
玄関でぱたぱたと体に掛かった白い粉を払う拓郎に、藍は慌てて歩み寄った。