蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
この頃。
藍は昨夜のように、夢にうなされる事が頻繁にあった。
以前にも、軽くうなされる程度の事はあったのだが、昨夜のように発作的なうなされ方をするようになったのは、二月辺り。
丁度、『しらたま』の一件があった頃からだ。
最初は、始めて飼った動物が死ぬ所を間近で見たショックのせいかとも思った。
だが、それだけじゃ無い気がする。
もっと根本的な、心の奥に根ざす物。
「怖い夢を見ただけ……」
そう言って身体を震わせて泣く藍を、拓郎は、ただ抱き締めてやる事しか出来ない。
そんな自分が歯痒かった。
家の事を一切話したがらない事と関係しているのか。
何にせよ、何か、抱えている物があるのだろうとは思う。