蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

最初は驚いてキョトンとしていたその子も、肩車から見える風景が新鮮だったらしく、すぐに泣きやんだ。


「うん、教えてあげるよ、おじちゃん!」


……おじちゃん。


まだ27なんだけどなぁ……。


この子から見たら、立派におじちゃんなのだろう。下手をしたら、この子の親の方が拓郎より若い事もありうるのだ。


「じゃあ、行こうか。ママを探して出発進行ー!」


「シンコー!」


少年が、楽しそうに『きゃっきゃ』と声を上げる。


――俺たちは、どんな風に見えるのだろうか?


藍が、楽し気に笑う。


『幼い子供を連れた若夫婦』


拓郎は我知らず、そんな幸せな未来図を、心の何処かで描いていたのかもしれない。

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