茅side
『どうしたのちーちゃん』
「茅花(つばな)。その呼び方止めて」
電話の相手は双子の妹、茅花。
「今、家に兄貴居る?」
『居るよ。ちょっと待っててね』
電話からは茅花の「おにーちゃーん」なんて叫ぶ声が聞こえる。
いい加減、保留ボタンの使い方覚えろよ。
『もしもし。茅?』
「よう、兄貴」
『新婚生活はどうだ?』
まだ結婚してねーよ。
「何が新婚生活だ。まだ結婚なんかしてねーよ」
『そうだっけ?』
アホ兄貴。
『で。今日はどうした』
「頼みたい事有るんだけど」
『どうした』
「桜庭風葉の家族構成について調べてほしい」
夕メシのとき兄弟は居るか、と聞いたら時のあいつの態度が変だった。
何かを隠しているような態度。
『一緒に住んでるんだから本人に聞けばいいじゃないか』
「そうできないから兄貴に頼んでるんだよ」
『なんだ。お前はお兄ちゃんに本人に聞けないようなややこしい事を調べろと言うのか』
「そうだよ」
『俺だって忙しい』
知ってるよその位。
『人使いの荒い弟だよ。全く』
「頼んだぞ兄貴」
華道の家元と茶道の家元。
近いようで遠い両家。
接点なんてあまりない。
この家は絶対何かを隠してる。
隠してはいけない大切な事を…
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