新生活スタート

1日目

風葉side
…誰か説明して下さい。
この状況を誰か説明して下さい。
「國相さんどうしてここに居るんですか」
「さあ?」
さあ?
どうして疑問形なんですか。
もしかしたらまだ夢の中に居るのかもしれない。
「夢ですか」
「違うけど」
じゃあこの状況はなんですか?
どうして國相さんが私に覆いかぶさるような体勢をしているのですか。
「じゃあどうしてこのような事に?」
「えーっと。こうゆう風にして待ってたら、寝ぼけながら起きた風葉とキス出来るかなって思って」
朝から何をしているのでしょうかこの人は。
「國相さん降りて下さい」
「嫌だ」
小学生ですか貴方。
「お願いです。降りて下さい」
「嫌だ」
「降りて下さい。國宮茅さん」
「……嫌だ」
その沈黙はなんですか。
「ではどうしたら起きてくれますか」
「キスしてくれたら」
「嫌です」
「じゃあ俺の事『茅』って呼んでくれたら」
「茅さん」
「茅」
「茅さん」
「ちーがーやー」
さん付けはダメみたいですね。
「茅。そこどいて下さい」
「分かった」
「茅」と呼んで貰えてとっても満足そう。
どうしたのでしょうかこの人。
昨日のお昼と態度が全然違うのですが。
どうしてこんなに急に態度が変わったのでしょうか?
誰か教えて下さい。
「茅さん私着替えをしたいのですが…」
「さん付けはダメ」
女の子みたいになっているのですが…
「いいですから早く部屋から出て下さい」
背中を押され渋々部屋を出て行く茅さん。
朝から疲れます。
着替えを済ませ昨日夕食を食べた部屋に行くと、茅さんがのんびりと新聞を読んでいた。
さっきはよく見ていなかったので気付かなかったけれど、今日は浅葱色の着流しを着て眼鏡を掛けていた。
新聞を読む姿がとても絵になっていますよ。
「茅さん、眼鏡をかけてたんですね」
「うん。何かを読むときだけ。テレビに出てる時はコンタクト。それと今、さん付けした」
「そうなんですか。さあ食べましょう」
「…頂きます」
何か不満でもあるのかな。
もしかして嫌いな物が入っていたのかな?
「茅さん。何か嫌いな物が入っていましたか」
「またさん付けした…」
さん付けが気に入らなかったのですか。
貴方何歳ですか?
「茅さん。今日はお仕事が有るのですか」
「……」
「茅さん。聞いていますか?」
「……」
煮物の人参を箸でブスブス刺してる。
いじけないで下さい。
「はぁ      。茅は今日、仕事が有るのですか?」
「ドラマの撮影が有る」
本当に小学生以下ですね貴方。
「風葉は今日学校?」
「はい」
「帰りは何時?」
どうしてそんな事を聞くのですか?
「7時過ぎだと思います」
「そんなに遅いの?」
「はい。部活動が有りますので」
「迎えに行く」
「来ないで下さい」
来て頂かなくても結構です。
「……即答しなくても……」
どうしてそんなに落ち込むのですか。
「迎えに行く」
「結構です」
「行く」
ダメ。この人話が通じない。
絶対小学生の方が聞きわけが良いよ。
「茅、お願いだから迎えに来ないで下さい」
「どうして」
「茅が来ると騒がしくなるから」
「…バレないようにする。車から出ないから」
「ダメです」
「……」
「来たらさん付けしますから」
「……解った。行かない」
本当に解ったのかな?
なんかすごく心配。
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