*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
聞いたこともない話に、汀が目を輝かせる。





「まぁ………泉の水を守っている女神ですって!?



なんて面白そうなお話なの!?」






わくわくとしたように叫んだ汀を、藤波は嫌な予感と共に見守る。






(…………まさか。



また、余計なことを仕出かそうとするんじゃ………)






その胸騒ぎが、当たらないわけもない。






「ねぇねぇ、息吹さん! 天城さん!!



その泉まで、行ってみましょうよ!!」






にっこりと笑って、とんでもない提案を始めた汀を、藤波は言葉もなく見つめる。





(…………信じられない、この人。



この危機的な状況が、まっったく、分かってない!!)






あわや人身売買をされかねない状況にあるというのに、汀はいつも通り、好奇心全開だ。






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