*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
汀の説得で青瑞の姫の怨みが鎮まり、せっかく一度は上手く収まるかと思いきや。




突然の天城の登場で、もはやどうしようもない更なる混乱状態に陥り、灯は再び大きく息を洩らした。






「…………もう、訳が分からん。


こんな所にいつまでもいたら、また面倒に巻き込まれるのは目に見えている」






汀も頷き、「そうよねぇ、まったく」と自分のことを棚に上げる。





突っ込もうかと思ったが、そんな気力も失せて、灯は頭を掻いた。







「…………帰るぞ、汀」






低く告げると、問答無用で汀の腕を掴む。





汀も今度こそは黙って首を縦に振った。





群雲は状況がよく分からないながらも、長居は無用と同意した。






白縫党の面々は、どさくさに紛れて今のうちに立ち去ろうと、揃って身を翻す。






しかし。







「…………あっ、火影童子!


こらっ、どこへ行く!?」






息吹は目敏く振り返った。







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