*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
灯はげんなりしたように息吹を見る。






「…………白縫山に帰るんだよ」






嫌そうに答えると、息吹が眉を吊り上げる。






「お前、勝ち逃げする気か!!」





「……………」





「あっ、やっぱりそうなんだな!?


くそぉ、たまたま運よく俺様に勝ったからと言って、調子に乗るなよ!?」





「……………」






面倒くさいので、灯は何も言わずに汀の手を引いてずんずんと歩き出した。





息吹はすかさず後に続く。






「こら、待てと言ってるのに!!


もう一度、正々堂々と勝負しろ!!」





「……………」





「あっ、そうか!


今度は勝てないと思って、戦わずして逃げるつもりなんだな!?


畜生、卑怯な奴め………!!」






「……………」







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