*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
しかし母は気にした様子もなく、灯をじっと見つめてくる。






「…………大事にしてあげて、ね。


このお嬢さんのことーーー」







予想もしていなかった言葉に、灯は目を丸くする。






もしかして、記憶を取り戻したのだろうか。





結婚して娘を産んだこと、その娘が今、目の前にいることを、理解したのだろうか。







灯はそう思ったが、どうやら違うらしい。





母はあくまでも、出会ったばかりの少女としての汀を気に入って、灯をその恋人と認識して話しているらしかった。







「こんな素敵なお嬢さんを、困らせたり、悲しませたりしちゃ、だめよ?」






そう言って首を傾げて、汀とよく似た真っ直ぐな眼差しを向けてくる。





灯はゆっくりと頷いた。






「はい………分かっています」






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