*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
ちらりと隣に目を向けると、汀がなんだか嬉しそうな、のほほんとした顔で灯を見上げていた。





灯は小さく笑い、ゆっくりと瞬きをした。






紅緋の髪が夜風に揺られるのを心地よく感じながら、汀の母へと視線を戻す。





いくら記憶を失ってしまっているとしても、この母が、汀を産み、育てたのだ。





そんな感慨に胸を打たれ、灯は心の内を少しずつ言葉に変えていく。







「…………こいつは………汀は、本当に変なやつで。



本当に能天気で、自由奔放で、いつも周りをはらはらさせて。



しかも破天荒で、傍若無人で、無鉄砲で、型破りで、そそっかしくて、思い込みが激しくて、勝手なことばかりしでかして、面倒ばかり起こして。



本当に、どうしようもない奴です」






「んまぁ」







あまりにもぽんぽんと言葉が飛び出してくるので、汀は感心したように声を上げた。






「あなたったら、いつもは無口であんまり話さないのに。


そういう話をするときだけは、口達者になるんだから………」






「それはお前が、文句を言いたくなるようなことばかりするからだ」







灯は問答無用で告げた。






< 327 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop