*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
そこまで言ったとき、母が突然手を伸ばし、灯の口を塞いだ。






「…………その続きは、本人に言ってあげて、ね?」






立てた人差し指を唇に当てた母に、灯は頷き返す。






母は安心したように微笑んで、手を離した。






ふわりと風が吹き、縁側に座る三人を優しく包み込む。





風に運ばれてきた花弁の一枚が、はらりと舞い落ちてきた。






母はほっそりとした指でそれを拾い上げ、掌に載せて汀に見せる。







「裏の庭では、もう桜が咲いているの。


ずぅっと昔からある、大きな桜の樹よ。


ぜひ、二人で見ていらっしゃいな」







汀は小首を傾げて、「はい!」と答えた。








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