*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
「…………俺だけじゃない。


露草も、群雲も、檀弓も、四つ子も、三人衆も、他の村人たちも。



お前みたいな破天荒な奴のことは、一度会った人間は絶対に忘れられない。



皆、お前のことを深く心に刻んでいる。



全員分まとめれば、お前の母親一人分くらいには近づくだろう」






「…………んまぁ」







灯の言葉は、正直訳が分からなかったが。





それでも、汀の心を慰めようとしてくれているのは伝わった。






汀は俯いたまま、顔を綻ばせる。




なぜだか、涙腺まで綻んで、視界がじわりと歪んだ。






「………近づくなんてものじゃないわ。


充分よ………充分すぎるくらい」







「…………そうか」







灯はほっとしたような声音で呟いた。







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