箱入り結婚のススメ
「なるほど。三洋さんの海外事業部は、なかなかのエリートが集まるって聞いたからね」
「いえ。私は……」
室賀さんの会社、三洋物産と取引があるのだろうか。
父はよく知っているようだった。
「今はなんの貿易を?」
私と母がケーキや紅茶を並べているのも気にせず、どんどん会話が続く。
「今は、主にステーショナリーを担当しております。
海外は日本ほど繊細な意識がないため、作りが大雑把だったり、当たり前のように欠品したりと問題はあるのですが、日本にはない発想やデザインのものもたくさんあります。
ですから、それらを日本向けに改善してもらったり、欠品しないように流通経路を整えてもらったりするのが一番の仕事になっております」
どれも初めて聞く話ばかりだ。
それはそうだ。
彼とまともなデートすらしていないのだから。
室賀さんの言葉に、父は満足しているのだろうか。
いつもの険しい顔ではなかった。