箱入り結婚のススメ
「そうか……納得してもらえたんじゃないかって思ったんだけど、ダメだったか」
「いえ、室賀さんのせいじゃないです。
父は誰を連れて行ったって、きっと反対なんです」
冷静になったつもりだったのに、室賀さんの顔を見た途端、感情が溢れてくる。
「舞さん、落ち着いて。とりあえず、場所を変えよう」
彼は私を車に乗せると、すぐ近くにあった自販機で温かいコーヒーを買ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「ちょっと冷えただろ?」
「はい。でもこれで温まれます」
私がコーヒーを両手で持つと、その温もりで緊張が緩んでいくのがわかる。
「それにしても、舞さんがケンカだなんて、よく頑張ったね」
「頑張った?」
「そう。自分の意見を言えたんだろ? それってすごいことだよ」
そう言われれば、そうかもしれない。
父の意見に逆らって家を飛び出すなんて、初めてのことだ。