箱入り結婚のススメ

エレベーターで五階まで上がると、彼は不思議そうな顔をする。


「ここ、舞さんの来るところじゃないよね」


五階は紳士服だ。


「私もお礼がしたいです」

「お礼って、手袋の?」

「いいえ。私の彼になってくれたお礼です」


他人の買い物に付き合わせるなんて、つまらないかもしれないと思っていたけど、好きな人が楽しいというのは、うれしいことなのかもしれない。

それに、室賀さんが私と一緒に手袋を選んでくれたのと同じように、私も彼に選びたい。
こんな感情を持ったのは初めてだ。


「それは参った」と笑った彼は、再び私の手を取って歩き始めた。


「それじゃあ、僕も手袋を」

「でも、室賀さん車だし、使わないんじゃないですか?」

「舞さんとのデートに使うよ。うれしすぎてにやける」

「そんな……」


きっと、大げさに言ったのだろう。
だけど、私が手袋をプレゼントされてうれしかったように、彼もそう思ってくれるのかな。

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