箱入り結婚のススメ

「私が選んでもいいですか?」

「選んでくれるの?」


私は小さくうなずいた。

麻子と一緒にこうして買い物を楽しんだことはある。
お互いに「こっちのほうが似合う」だとか「これはそのうちバーゲンになりそう」だとか言い合いながら。

その時もとても楽しかったけど、好きな人ために品物を選ぶという行為は、一層気持ちが高ぶるものだと知った。


「舞さん、これは?」

「ちょっと……うーん」


選ぶといったくせに、なかなか決められない私をクスクス笑う室賀さんは、いくつか候補を見せてきた。
だけど、私の中に膨らんだイメージに合う手袋とはちょっと違う。


「あっ、これ!」


不自由な手でたくさんの手袋の中から、チャコールグレーのケーブル編みの手袋を発見した時、なんだかビビッときた。


「これがいいです。絶対」


無理やり彼に押し付けると、室賀さんは微笑んだ。

< 163 / 450 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop