箱入り結婚のススメ
いつの間に?
私がお手洗いから戻ってきたとき、どこかに電話をしている姿は見かけたけど、もしかしてあれは……。
「室賀さん。ご迷惑をおかけしましたよね」
「いえ、とんでもありません。
ご心配をおかけするようなことをして、申し訳ありませんでした。
あの、お父様にも謝りたいのですが」
室賀さんの言葉に驚いた。
彼が謝る理由なんてひとつもない。
それどころか、イヤなことばかり言った父が謝るべきだ。
「すみません。今、主人は頭に血が上っていまして。
今日、室賀さんが来てくださって、おそらく反対のしようがない人だと、わかったんだと思います。
あなたの言葉は胸に響きました」
母の口からそんな言葉が飛び出すなんて予想外だ。
「ですが、舞の成長の早さについていけないんです。
私達が御膳立てをしてやらなければと思ってきた舞が、こんなにしっかりとした方を自分で連れてくるなんて、私も驚きましたから」
室賀さんは母の言葉に優しく微笑んだ。