箱入り結婚のススメ

幼稚園で働きたいと訴え、なんとか押し切ったものの、何度も何度も辞めなさいと言われ、このままではいつかくじけそうだった。

ケガをしたときもそうだ。
それでも私は、室賀さんに助けられながらも、はっきり「辞めない」と主張できた。
室賀さんに勇気をもらったのだ。

そう考えると、やっぱり恋の力は偉大だ。


それに、彼に出会わなければ、父と母の言うままにお見合いをして、結婚していたのかもしれない。
そうなった場合、"幼稚園の先生"というやっと手にした夢も、手放すことになっただろう。


「やっぱりおいしいわ」


いつもの元気な麻子が戻ってきた。
それぞれいろんな事情はあるけれど、相手を信じなければ始まらない。

きっと井出さんも麻子を幸せにしてくれるはずだと、信じたい。


「室賀さん、出張なんでしょ」

「うん。ちょっと長くて帰りは来週なの」

「そっか、寂しいね」


彼氏がいなかった今までは、時間があっても寂しいだなんて思ったことはなかった。

だけど、室賀さんと付き合いはじめてからは、寂しく思う時間が増えた。

それは、彼と会えるときの喜びが大きいことの裏返しなのかもしれないけれど。

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