箱入り結婚のススメ
「近い、将来……」
「そ、室賀さん出張から帰ってきたら、盛り上がるかもよ」
私がオドオドし始めたのを見た麻子は、クスクス笑っている。
「ここにはいろんなことが書いてあるけど、参考程度にしておきなさいよ。
室賀さん、そんなに焦ったりはしないだろうけど、彼も男だから、その辺りの事情は知っておいたほうがいいと思うの」
「事情?」
「あのさ」
麻子はフォークを置くと、身を乗り出してきて私に顔を近づけた。
「男は皆、性欲ってのがあるわけ。室賀さんがどんなに紳士でもよ」
耳元でそう囁かれて、思わず頬を赤らめる。
「舞だって、好きな人に抱かれたいと思わない?」
うーん。正直言ってよくわからない。
だって、そういう経験がないのだから。
大学生のとき、友達のひとりが経験して、痛かっただの、だけど良かっただの教えてくれたことはあったけど、本当のところはどうかわからない。