箱入り結婚のススメ
「今日は寒いし、そうしましょう」
私が遠慮しても、小栗先生は譲らなかった。
バスが来るまでに、あと二十分はかかる。
だけど……室賀さんの顔が浮かんだ私は、先に車を取りに行こうとしている小栗先生を追いかけた。
もちろん、断るために、だ。
やましい気持ちはなくたって、もしも室賀さんと他の女性がふたりきりだったら、やっぱり気になると思ったのだ。
「あの、小栗先生。やっぱり私、バスで大丈夫です」
二十メートルほど先を歩いている小栗先生に向かって、少し大きな声で叫んだ。
「遠慮しないで」
「あれっ……」
振り向いた小栗先生のほんの少し先に、もうひとりの人影が見える。
その人は、小栗先生の横を通り過ぎ、私のところまでやってきて、にっこり笑った。
「ただいま」
「お、おかえりなさい。どうしてここに?」
「舞さんに、一刻も早く会いたくて」
唖然とする私のもとに、小栗先生も近づいてくる。