箱入り結婚のススメ
「でも……広大のご両親が、それなら会社を辞めて家を継げって」
「そうなの?」
「うん。もともと何年か修行したら家に戻したいと思ってたみたい」
井出さんの実家は、千葉で酒屋のチェーン店を経営しているらしい。
大企業というわけではないけれど、かなりの売り上げがあるようで、井出さんはいわゆる御曹司なのだ。
「井出さんはなんて?」
「悩んでるみたい。はっきりとはなにも言わない」
井出さんが決められないから、麻子だって不安に違いない。
「もしかしたら、舞みたいな事態になってるのかもって」
「私みたいな?」
麻子はフォークを置いてしまった。
「結婚を迫られてる気がする」
麻子の言葉に驚いて、私もフォークを置いた。