箱入り結婚のススメ
なかなか泣き止むことができない私を、彼はずっと優しく抱きしめ続けてくれた。
「ごめんなさい」
やっと気持ちを落ち着けた私が彼から離れると、「オムライス、作ろうか? 手伝うよ」と彼は微笑んだ。
シンプルなTシャツとジーンズに着替えてきた彼と一緒にキッチンに立つと、こんな日がこれからも続くのだと、うれしくなる。
「鶏肉、切れないぞ?」
「じゃあ、それは私がやります」
「泣けたきた。玉ねぎのヤロウ!」
決して上手とはいえない手つきで玉ねぎと格闘している秀明さんがポロポロ涙をこぼし始めるから、笑ってしまう。
「もう、座っててください。あっ、洗濯機まわしますから、洗濯物出してくださいね」
「おぉ、それなら俺にもできる」
クスッと笑った秀明さんは、涙を拭きながら荷物の置いてある寝室に向かった。