箱入り結婚のススメ

オムライスとサラダはすぐにできた。
洗濯機が回る音を聞きながら、私達は席に着いた。


「そうそう、これ」


ごく普通のオムライスに目を輝かせる秀明さんってかわいいな、と思いながら手を合わせた。


「うまいなぁ」


本当に美味しそうに食べてくれるから、思わずニタついてしまう。


「昔さ、おふくろが兄貴と喧嘩した後によく作ってくれたんだよ」

「そうなんですか?」

「うんうん。男同志のケンカって激しいから、兄貴とふたりで、殴られた痛みを我慢しながら食べたもんだよ」

「秀明さんがケンカって……」


全然想像できない。


「そりゃーするさ。
今となってはくだらないと思えるけど、あのころのような激しい感情って、大人になると忘れちまうんだよな。
なんとなく周りに合わせて、自分を殺して。
ビジネスをしていると余計にそうだ」


彼はそう言いながら、大きな口でオムライスを頬張った。

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