箱入り結婚のススメ

「ねぇ、舞ってさ、ホントに男いたことないわけ?」

「男って、彼氏のこと?」

「他になんの男があるのよ。付き合ったことないのか? って聞いてるの」

「ないよ。だって女の子しかいなかったもん」


彼氏を作ろうにも、相手がいなかったんだから、仕方がない。と思ったけど……。


「あのさー、いくら女子校だったとしても、みんな外でこそっと色々してるわけ」

「そうだったの!」

「ヤバいわ、こりゃ」


麻子にあきれられたけど、今までなにも不自由してないし、それなりに学校生活もエンジョイしてきたから、特にそういう人が欲しいとも思わなかった。


「箱入り娘だもんね、舞は」

「そうでもないよ」

「その感覚がずれてるの。
幼稚園の先生なんてならないで、家で花嫁修行しろって言われてたんでしょ? 
うちならあり得ないから」


同じように幼稚園から上がって来たミッションスクールの友達の中には、就職せずに家に入る子もちらほらいたから、麻子の話を聞くまで、別に感覚がずれていると思ったことはなかった。

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