箱入り結婚のススメ
「まあいいわ。いい男がいたらくっつけてあげる。
あっ、でも、私の好みだったらいただくけど」


麻子はにっこり笑った。


たしかに、大学で幼児教育を専攻して、教授にここ、希望ヶ丘幼稚園の就職を紹介されたと報告したとき、父も母も大反対した。

なにせ、実習に行っただけで、"泥にまみれて子供の世話なんてしなくていいから、家にいなさい"と大騒動だったのだ。
実習に行くのも、一応教員免許を取るためで期間限定だと思い込んでいて、まさか就職するなんて思ってもいなかったらしい。


母はいわゆるお嬢様育ちで、なに不自由なく暮らしてきて、会社勤めの経験もないようだ。
電機メーカーで取締役をしている父とはお見合いで知り合い、それで幸せに暮らしているからと、私にも同じ道を勧めた。

だけど、子供が大好きで、どうしても社会に出て働いてみたかった私は、初めて両親の反対を押しきって就職したのだ。


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