箱入り結婚のススメ

麻子は結納をせず、両親の顔合わせで終えたようでなにも聞けない。
その分、安永さんに頼りっぱなしで、当日迎えた。


ローズパレスが提携しているホテルの一室で行うことにした結納に、秀明さんの両親が静岡から上京してくれた。

速水姓を名乗ってもらうと決まったから、本来なら速水家が向かうべきなのだと教わった。

だけど、「東京に行ってみたい」なんて、おそらく私のために気をつかってくれた彼の両親に甘えることにした。


「舞、あちらのご両親はいつ着くんだ」

「ですから、十一時です」

「あぁ、そうだったな」


そわそわして落ち着かない父に、少し驚く。
いつもドーンと構えていて、決して取り乱したことがない父が、まさかこんなに動揺するとは思わなかった。

母の「ショックを和らげてあげて」という言葉を思い出して、結納をすることにしてよかったと思う。

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