箱入り結婚のススメ
ホテルの控室で、成人式の時に作ってもらった、深い赤に古典的な柄模様の振り袖を着付けてもらった。
相変わらず帯が苦しいけれど、着物を着ると背筋が伸びて、気が引き締まる。
父のことを笑えないほど緊張している私は、すべての準備が整うと胸に手を当てて大きく深呼吸した。
会場となった部屋に足を踏み入れると、緊張がピークに達する。
父と母と並んで着席すると、すぐに秀明さんと室賀家の両親が入ってきて、立ち上がる。
「はじめまして、室賀です」
「速水です。どうぞよろしくお願いします」
父親同士が挨拶をするのを、ドキドキしながら見つめる。
そっと秀明さんの顔を見ると、私の視線に気が付いて、小さく頷いてくれた。
「それでは早速ですが……」
両家の挨拶が済むと、ホテルの係りの人の誘導で、結納が始まった。