箱入り結婚のススメ
「お父様とお母様にお礼を言わなくちゃ」
「そうだな。俺も」
秀明さんは私の手を取って、和やかにあいさつを交わしている双方の両親の前に立った。
「本日は、私達のためにありがとうございました。
これから舞さんを全力で幸せにします」
秀明さんと一緒に頭を下げると、父が一歩離れたのがわかる。
そして、私達に背を向けて数歩先まで歩いて行った父が、ポケットからハンカチを取りだした。
もしかして……泣いているの?
「秀明さん、どうぞ舞をお願いしますね。舞、本当におめでとう」
母が秀明さんに頭を下げたあと、そっと私に耳打ちをする。
「お父様、今日のセリフ、何度も何度もこっそり練習していたのよ」
「えっ?」
母は私ににっこり笑うと、父のもとへと歩いて行った。