箱入り結婚のススメ

サロンで羽織ってはみたけれど、きちんと着つけてもらったのは初めてだ。

本当はドレスだけのつもりだった。
だけど、麻子が「親は期待してるかもよ」なんて言うから、着ることにしたのだ。

それに、麻子の色打掛姿を見たとき、いつもとは違う彼女の雰囲気に感動したから。


あとで父と母の結婚式が神前だったことを知り、もしかしたら懐かしく思ってもらえるかもしれないとも思った。


「本当にお綺麗です。
花嫁様が一番輝かれる瞬間に立ち会えることは、この仕事の醍醐味です」


スタッフとして淡々と裏方業務をこなしているように見える安永さんは、実は感動屋さんだ。
彼女の言葉はお世辞には聞こえないのだ。


「そろそろお時間です」


部屋の外から男性の声が聞こえる。
秀明さんの手伝いをしてくれている、桐生さんというプランナーだ。

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