箱入り結婚のススメ
「あっ、麻子は?」
「私はねー、うふふ。内緒」
「内緒って、私のことだけ聞いといて」
「だって、舞は自分だけじゃなんともならないでしょう?」
その通りだ。麻子のアドバイスはとても重要だ。
「ほらバスが着くわよ。戦闘開始」
なんとなくごまかされた気もするけれど、あの笑顔だ。
うまくいっているに違いない。
私たちは慌ただしい日常に戻っていった。
それから数日。
家に帰ってボーッとしていると、なんだか室賀さんのことが頭に浮かぶ。
室賀さんが言っていたあのホラー映画の原作のタイトルは、帰ってきてからすぐに調べた。
それに、なんとなく上映している映画館まで、調べてしまった。
だけど、連絡先を伝えなかったのは私だ。
もうきっと、会うこともない。
そう考えると、少し寂しくなった。