箱入り結婚のススメ

そんなある日……。


「危ない!」


遊具に登っていた男の子が、目の前で足を滑らせてしまったのを見た私は、とっさに彼を受け止めようと下に入った。


「いたっ」


案の定、そのまま落下してきた彼は、私の上に飛び降りる形になり、受け止め切れなかっ私は、地面に尻餅をついてしまった。


「速水先生!」


その様子をそばで見ていた小栗先生が駆け寄ってきて、私の上に乗っかっていた園児を下ろしてくれる。


「速水先生、大丈夫ですか?」

「はい。私は……」


そうは言ったものの、とっさについた腕をひねってしまったようで、涙が浮かぶ。


「太知(たいち)くん、大丈夫?」


私の上に降ってきた太知くんは、なにが起こったのかわからず放心状態だ。
だけど、ケガをしているようには見えない。ひとまずよかった。


「速水先生……わーん」


太知くんではなく、そばで一部始終を目撃していた亜子(あこ)ちゃんが突然泣き出してしまう。

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