your magic
「大野先生とか、マッチーだけじゃなくて、若手の先生はみんな、ほののこと、1年目なのに本当に頑張ってる、生徒が図書室の活用だけじゃなく、情報の活用がうまくなってきてるって言ってるって、知らないでしょ?」

知らなかった。職員室にいる時間が短いからかもしれないが、そんなに評価されるような仕事をしているとも思っていなかった。むしろいつも、大野先生の足を引っ張っているのではないかとヒヤヒヤしていた。図書室の評判を落としてはならぬ、だからと言って生徒との距離もきちんと取らないと、というジレンマもあった。

「マッチーが練習中に来てさ、今日は練習終わったらすぐ帰れって言ったんだよ。片付けとか、それなりに時間かかりそうだから、練習後ダッシュで帰れば、ほのより前につくだろうってさ。」

嬉しかった。
初めて知った、自分の評価が。
初めて知った、周りの配慮が。

そして何より、片づけておきたかった仕事もあったかもしれないのに、私のためにアパートまで戻ってくれた、正樹さんの優しさが、本当に本当にうれしかった。
< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop