今日は、その白い背中に爪をたてる
涙目で見上げればけろっとした表情で見下ろすヤツがいて、息が上がっているのは私だけかと腹が立つ。


おまけに私の濡れた唇を親指でぬぐってニヤリと笑うのだ、気持ちよかった?って。



「こ、こんなとこでしないでよ!!
誰か見てたらっ……」



私は見られてもいい(いやよくないが)けど晴斗は私とは違うのだ、外での行動には気をつけなければならない。



「誰もいないから平気だよ。
っていうか晶だってしっかり俺に応えてたじゃない。」



「うっ、そ、そんなことないし。」



なんなの、この調子が狂う態度。


クール、かつポーカーフェイスを信念に掲げる私のペースを乱す。


やっぱり昨日からこいつは変だ、こんなに困らせられたことは3年目になる(不純な)付き合いで未だかつてなかった。


ベッドの上での晴斗は美女顔負けにセクシーでかつ少し強引で、だけど私が辛くないか一々労わりながらの行為は年下とは思えない大人っぽさ。


した後は大体眠ってしまうので特に話もしない、私は眠る晴斗を置いて逃げる。


私達の関係は本当にただのセックスフレンド、だ。


私はそんなオトナな晴斗しか知らなかった、だから甘えるような仕草はさっき初めて見た。


驚きと戸惑いと苛立ちとが入り混じった複雑な表情を浮かべていると晴斗はふいに私の手をとりきゅっと握る。


そして少し強引に歩き出した。



ーどこ行くわけ、ちょっとちょっと!!??ー



コンパスの差に辟易しながら、もつれる足をなんとか整えて必死でついていく。


自動ドアを通って外に出ると日が落ちて大分経つというのにまだ地面から熱がムワムワと上がってきた。
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