今日は、その白い背中に爪をたてる
そして余裕な年上ぶった態度。
「なに、どういう風の吹き回し?
言っておくけどうちには入れないよ。」
…その時はいいセリフだと思ったんだ、だって晴斗が私に本気なわけないから。
えー、残念。
そう言って笑ってくれると期待してたのに、とんだ誤算となった。
挑発的に微笑んでみせた私をバイクから見上げて、晴斗はムッとした表情を隠しもせずにどうしてだめなの?と返してきたのだ。
「ど、どうしてって……」
予想外の反応に狼狽えながらも私はだめなものはだめなんだと言い返して、取り返しがつかなくなる前に早口に別れの口上を述べ歩き出した。
何よ、前みたいにおちゃらけて笑わせてみせてよ。
真剣な顔なんて、見たくないの。
そんな思いも虚しく後ろから伸びてきた腕に捉えられてはじめから深く口づけられ、為す術もなく連れ去られたが。
くそう。
思い出しただけで腹が立つ。
キスすりゃ何でも言うこときくと思いやがってあいつ。
「あんなん、無理でしょ……」
抵抗出来ない私が悪いんだろうか。
ヤツの妙に上手いキスは私の戦意やら怒りやらを全て掻っ攫って腑抜けにしてしまう。
そのせいで結局家まで送ってもらうはめになり。
「また明日。」
何故かそう言ってヤツは私のマンションの前から去って行った。
ーポーン
エレベーターの自動音声が目的階への到着を告げた。
過去から舞い戻った私の思考は目を開ける。
手の中では相変わらずマナーモードにした携帯が無音で震えていた。
…こうして避け続けるのにも限界があるのかもしれない。
あの日から数週間絶えず連絡がきているにもかかわらず私は返事をしないでいた、意図的に。
「なに、どういう風の吹き回し?
言っておくけどうちには入れないよ。」
…その時はいいセリフだと思ったんだ、だって晴斗が私に本気なわけないから。
えー、残念。
そう言って笑ってくれると期待してたのに、とんだ誤算となった。
挑発的に微笑んでみせた私をバイクから見上げて、晴斗はムッとした表情を隠しもせずにどうしてだめなの?と返してきたのだ。
「ど、どうしてって……」
予想外の反応に狼狽えながらも私はだめなものはだめなんだと言い返して、取り返しがつかなくなる前に早口に別れの口上を述べ歩き出した。
何よ、前みたいにおちゃらけて笑わせてみせてよ。
真剣な顔なんて、見たくないの。
そんな思いも虚しく後ろから伸びてきた腕に捉えられてはじめから深く口づけられ、為す術もなく連れ去られたが。
くそう。
思い出しただけで腹が立つ。
キスすりゃ何でも言うこときくと思いやがってあいつ。
「あんなん、無理でしょ……」
抵抗出来ない私が悪いんだろうか。
ヤツの妙に上手いキスは私の戦意やら怒りやらを全て掻っ攫って腑抜けにしてしまう。
そのせいで結局家まで送ってもらうはめになり。
「また明日。」
何故かそう言ってヤツは私のマンションの前から去って行った。
ーポーン
エレベーターの自動音声が目的階への到着を告げた。
過去から舞い戻った私の思考は目を開ける。
手の中では相変わらずマナーモードにした携帯が無音で震えていた。
…こうして避け続けるのにも限界があるのかもしれない。
あの日から数週間絶えず連絡がきているにもかかわらず私は返事をしないでいた、意図的に。