今日は、その白い背中に爪をたてる
私の思いもよらない発言にはた、と愛撫が止まる。


私は目一杯腕を伸ばしてポカンとする晴斗の首にまわした。



「もっと…触って?」



ぎゅ、と抱きつくと彼の背中がピクリと動く。


今日は裸の肌が触れ合うのも気にならなかった。


…すると、ややあってふうーと耳元で深い溜め息が聞こえたかと思うと、



「参った……反則でしょそれ。」



そうブツブツと呟いて晴斗は額を合わせながら私の頬を包んだ。



ーー真剣な表情と瞳。



焦げ茶の瞳が燃えている…なんて言い方は大袈裟なのかな。


もう本命がいるだとか関係ない、私がこんなにも好きなんだからそれでいい。


我慢出来ない、零れる。



「好き………」



晴斗の手の上に自分の手を重ねて囁いた。



「好きよ晴斗…大好き……」



上手く笑えてるかな、私。


ああ、こんな気持ちになれるならもっと早く言ってしまえばよかった。


だってこんなにも嬉しい、幸せ。


晴斗が何も言ってくれなくたって、微笑んでくれてれば十分。



「晶…もう俺限界……」



私の言葉にくしゃりと顔を歪めて笑う晴斗を抱きしめて。



「いいよ…きて。」



熱いものに穿たれて、思わず声が漏れる。


人と身体を重ねてこんなに嬉しかったことはこの先一生ないだろう。


滑らかな背中を抱きしめながら、私は涙が一筋伝っていくのを感じたーー。




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